茨城県水戸市の水戸衡器製作所は、はかり・計量器の総合卸販売会社です。

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重さの単位について

昔の定義

重さの基準とは何か? 1kg の当初の定義は「水1リットルの質量」でした。
1795年、「大気圧下で氷の溶けつつある温度(およそ0℃)の水」となっていましたが、その後に水の体積は温度と気圧によって変化することがわかったのです。これでは重さの基準になりません。

そこで、「1気圧・最大密度の温度(約摂氏4℃)の不純物のない水1リットルの質量」が 1kg となりました。
しかし、このままでは比較しづらいので人工物でこれと同じ重さの「白金製のキログラム原器」が作られました。
これを「アルシーブ原器」と呼びます。

しかし、原器を作る作業は困難でした。1気圧を保ち、不純物のない水の作成、そして最大密度となる温度にするなど大変な作業です。原器の質量を測定し直すたびに重さが違うこともあり問題が多かったのです。

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キログラム原器のレプリカ。二重のガラス製の鐘の中に保管されている

現在の定義

1889年、「アルシーブ原器自体の質量を1kg」と定義することになりました。
これによって、水に依存していた重さの基準が人工物の原器に定義されたのです。

国際キログラム原器は直径・高さともに約39mmの円柱形でプラチナ(白金)90%、イリジウム10%の合金製の金属で出来ています。フランス・パリ郊外のセーヴルの国際度量衛局(BIPM)に2重の機密容器で真空に保護された状態で保管されています。

キログラム原器の複製

1889年の第1回国際度量衡総会において、世界各国で用いる標準原器として各国に国際キログラム原器の複製を配布することが決定された。日本には1889年に複製のうち6番が原器として配布され1890年に到着した、当初40個の複製が作られて各国に配布・保管されている。これらの原器は約40年ごとに特殊な天秤を用いて国際キログラム原器と比較されることになっている。日本国内ではこの6番を「日本国キログラム原器」としてキログラムの基準に使用している。なお、30番と39番も副原器として日本に配布され、39番は1947年に韓国に譲渡しており、1963年にE59番を新造している。2009年9月には、BIPMから原器94番を新規に購入した。副原器を含めた4器は茨城県つくば市の独立行政法人産業技術総合研究所に保管されている。日本国キログラム原器は国際キログラム原器に比べて0.176mg重いことが分かっている

キログラム原器の不安定性

国際キログラム原器の質量は、表面吸着などの影響により年々増加しており、その量は洗浄直後の急速な汚染の他、年に1µg程度と見られている。1988年-1992年の第3回各国キログラム原器の定期校正に際して、42年ぶりに国際キログラム原器の洗浄が行われたが、これにより国際キログラム原器の質量は約60µg減少した。これは1kgの6×10−8倍に当たるので、国際キログラム原器による定義の精度は8桁程度ということになる。質量の定義をより明確にするため、質量単位「キログラム」は洗浄直後の国際キログラム原器の質量値として解釈されることになった。
2007年9月、国際キログラム原器が50µg軽くなっているという報道が一部でなされた。しかし、これは同原器が突然50µg軽くなったことを意味するわけではない。上記のように原器は経年で徐々に質量を増すことが知られているが、BIPMの解説によると、1889年からの間に他の複数の複製と比較して、質量変動が約50µg少なかったということだという